夫婦円満のヒント

夫の共感力の乏しさに悩んだ結婚生活 / アスペルガーとの関係

辛い出来事があった時、夫から私の気持ちに寄り添ってもらえないことに悲しみや寂しさを感じたことが数え切れないほどあった。夫に話せば心無い言葉や冷たい態度に辛さが悪化するので、本当は相談にのってほしい悩みまで話さなくなってしまった。

その後、夫がアスペルガー症候群と診断されて、「共感力が乏しい」はその特性だったと自己判断で納得する方向に収まっていた。

しかしカウンセリングで夫の育った家庭環境をふり返り、幼少期から目の前で両親の激しい夫婦喧嘩を見せられたり、躾という体罰を受けていたことがわかった。それらが脳の発達(共感力. 理解力. 感情コントロール. 集中力. 意思決定など)に影響を与えていた視点を初めて知った。人との関わりに大切な力が健康に育まれていない。

私は学校の教室や部活で夫と同じ体験をしていた。小学生から大学生まで取り組んでいたスポーツ競技では、昔は当たり前だった怒鳴って叩いて実力を伸ばそうとする間違いだらけの指導により、精神的に恐怖を感じていた時期があった。

生まれつきの脳の働き方の違いではなくて、生育歴でつくられた後天的な性質。トラウマに対する介入をしていくと、夫婦関係が少しずつ穏やかになっていった。子どもは親からかけられた言葉や振る舞いと同じものを身につけていくので、辛い出来事があった時に夫から私の気持ちに寄り添ってもらえなかった点は、夫が子どもの頃に親から十分に寄り添ってもらえなかった点と繋がった。生まれた後に身につけた性格や傾向は、夫婦ふたりそれぞれが向き合う必要性がある。

ふたりの生きてきた足跡を辿ると、生きづらさや夫婦関係の原因の多くは、夫のアスペルガーではなかった。私の辛かった気持ちの原因は、夫のアスペルガーではなかった。

同感ではなく共感でいい

また、私は夫に共感ではなく同感を求めていたことに気づき、見直して改善した。相手の話を聞く時、共感は助けになるけれど、同感でなくていい。

共感「そう感じているんだね。しんどいんだね」
同感「私もあなたと同じ気持ちだよ」

以前の私達は互いに同感を求めていたため、関係がうまくいかなかった。相手が自分と同じ気持ちと考えを持ってくれないと落ち着かない。終いには「なんでこう思わないの?なんでそんな風に考えるの!?」と口論になってしまう。身近な存在こそ同感を求めてしまいがちだが、自分の内面から湧く自然な気持ちや考えを他人から「違う!」と言われてうまくいく関係は、ない。

その代わり、相手の気持ちを尊重する共感ならできる。考え方や感じ方の違いを同じにするのではなく、違いがあることを認め合えるように努力していった。

一方で、共感の求め過ぎにも気をつけるようになった。人の寄り添いはとてもあたたかいけれど、自分の気持ちを自分で認めてあげることも大切だと学んだ。しんどく感じる原因が自分にもある場合、共感により自分の課題が見えずそのままになることがある。

自分の気持ちを自分で肯定してあげながら、いろんな考えや価値観にふれて心の引き出しを増やすことを意識している。

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