夫がアスペルガー症候群と診断されてから数ヶ月間は、何冊も何冊も発達障害の本を読んで知識をつけていた。
でも知識をつけすぎると無知になると気づいた。
やるべきことは必死に知識を詰め込んで頭でっかちになるよりも、目の前にいる夫との時間やコミュニケーションだった。
アスペルガーの特性ではなかった
夫への視線が「アスペルガー症候群の人」だった頃は、特徴的な言動は全てアスペルガーの特性だと思い込む癖があった。当時、私が悩んでいた夫の性格:
- 絶対に自分が正しいと思い込む
- 人の意見を聞かない
- 共感力がない
- 話の内容を理解するのが苦手
- 問題があったら忘れて前へ進む
- 嫌になったら会話中に突然その場から去る
- 最後はすべてが私のせい
実際に、似たようなことが「アスペルガー症候群の特性」として本にも書かれていたから、そうなんだと信じていた。でも違った。
「夫の育った家庭環境と両親の性格」の影響だった。
生育歴を知る大切さ。
親子関係に向き合うようになってから、アスペルガーの特性だと思い込んでいた夫の気難しい部分が、消えた。アスペルガーの特性だったら、まず消えることはない。
実際は、幼少期に受けたトラウマや心の病がアスペルガー症候群の特性をよくない方向へ加速させていたり、そもそもアスペルガー症候群の特性ではなかった。
脳の発達に影響
夫がアスペルガーと診断された後「共感力がない」はその特性と思っていた。しかしカウンセリングで夫の育った家庭環境をふり返り、幼少期に体罰を受けたり言葉や身体DVを目撃してたことがわかった。それらが脳の発達(共感力. 理解力. 感情コントロール. 集中力. 意思決定など)に影響を与えていたのだ。
生まれつきの脳の働き方の違いではなくて、生育歴でつくられた後天的な性質。トラウマに対する介入をしていくと、夫婦関係が少しずつ穏やかになっていった。
私は学校の教室や部活で夫と同じ体験をしていた。生まれた後に身につけた性格や傾向は、夫婦ふたりそれぞれが向き合う必要性を感じた。
アスペルガー症候群の特性と決めつけない
アスペルガー症候群は人によって違いがあるし、特性の周りにへばり付いている「何が」「どれくらい強いのか」も人によって違う。
大人になってから発達障害と診断された人なら尚更。違いや特性を理解をされないまま育てられているから、その場その場で自分を守るために身につけてきた性格がある。
両親との関係の影響、身を置いている社会、そして一緒にいるパートナーによっても特性が強く出てしまう。大人になってから発達障害を知った人は、現在のその特性の種類や強さのまま、生まれてきたわけではない。
私達が夫婦円満になるまでやって良かったことは「アスペルガー症候群の特性」と決めつけて、そこにこだわり過ぎないこと。本やネットに書いてある情報を信じ過ぎないこと。根掘り葉掘り調べ過ぎないで、肩の力を抜くこと。
目の前にいる夫に、妻に向き合うこと。
自分自身に向き合うこと。
ふたりの生きてきた足跡を辿ると、生きづらさや夫婦関係の原因の多くは、夫のアスペルガーではなかった。私の辛かった気持ちの原因は、夫のアスペルガーではなかった。
お互いの過去をそれぞれ癒してあげると、ありのままでいるからこそ仲良くできるようになった。