卒業論文のテーマが、「発達障害とプログラミングの親和性」です。
プログラミング教育を発達障がい者の支援に加えることで、将来経済的な独立をするための一つの武器になるのではないかと考えております。
日本の発達障害児に対する支援は未だ不十分で、ソーシャルスキルや一般的な学習面でのサポートだけでは結局障がい者としてしか雇用されないわけで、戦力として企業に雇用されるような人材を育成するための環境を作る必要があると考えています。
Alanさんはどのような環境や流れで、今のご職業、スキルを持たれたのですか?
僕の自己紹介。
職業:データサイエンティスト
学歴:大学ではエンジニアを専攻。その後MBA取得
住まい:シリコンバレー
シリコンバレー (Silicon Valley) は、アメリカのサンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置している地域一帯の名称。Apple、Google、Facebook などの本社が集まるIT最先端技術の発信地で、世界中から優秀な起業家、エンジニアやプログラマーが集結する。アスペルガー症候群は別名「シリコンバレー症候群」と呼ばれるほど、ここはアスペルガー症候群の人の割合が高いそうで、新しいものを生み出すIT業界で優れた能力を発揮している。
プログラミングに興味があった子供時代
父親の本棚には歴史、生物学、数学などの本があり、字が読めるようになった年齢から読んでいた。

12歳の時に父親は僕にパソコンを買ってくれ、コンピューターを学ぶ機会を与えてくれた。そこからプログラミングをしてゲームを作るようになった。プログラミングとの出会いはここ。
僕がプログラミングに興味を持っていることに両親が気づき、学校後にプログラミングを学ぶ教室へ通わせてくれた。
学力はトップ、スポーツはビリだった学生時代
中学、高校での学力は常にトップだった。しかし、国語とスポーツ以外。特に極端に運動が苦手だった。典型的な発達障害の傾向。
高校ではとても良い先生に巡り会えた。僕の突出した能力に気づいてくれて「あなたはここの大学に行くべき」と、世界でも高い評価を得ている工科大学を紹介してくれた。
この頃僕自身、「ギフテッド」とも指摘を受けている。
ギフテッド
同世代の子供と比較して並外れた能力を持っていたり、突出した能力を持つ子供のこと。アメリカではギフテッドと呼ばれています。
発達障害の子供の中には、このギフテッドを持つ子もいて、特にアスペルガー症候群の子に多いと言われています。
でも、そこから何か特別な支援や教育を受けたわけではない。みんなと同じような義務教育を受けて、プログラミングの教室に通っていた。
僕の得意分野に気づいて目を向けてくれる先生がいなかったら、僕はここまでスムーズにキャリアを積めていなかったかもしれない。
僕が学びたいことへの分野を積極的にサポートしてくれた両親、キャリアへのアドバイスをしてくれた先生がいたことに心から感謝をしている。
なぜエンジニア職についたのか
大学を卒業する前に教授から、海外のエンジニアインターンシップを勧められた。それが日本の企業だった。日本でインターンシップをした後、IT企業が集まるシリコンバレーで働きたかったのでここへ来た。

まず、バイオテクノロジーのスタートアップで働いた。そこでデータ分析に興味を持ち夢中になったことで、のちにデータサイエンティストになった。
アスペルガーが仕事に良い影響を与えていることは?
- ずば抜けた集中力
- 細かい分析力
- 優れた記憶力
- 好きな分野を追求する=解決するまで絶対に諦めない精神
会社での人間関係やコミュニケーションで思うことは?
- その仕事に興味がないと、集中力も意欲もなくなって成果が出せない
- 世間話が苦手でコミュニケーション不足なために、同僚とうまくいかないことは多々ある
- 一人でコツコツ働く方があっている
- チームで助け合いながらプロジェクトを進めるチームプレーの作業が苦手。困っていても「手伝って欲しい」と助けを求められないから
- 自信過剰なところがあり、仕事をどんどん引き受けて、結局期限以内に終わらないことがある
- ソーシャルルールが無駄に感じて、破る時がある
例:上司の上司に用事があるとする。まずは直属の上司に話す暗黙のルールのようなものがあっても、時間の無駄だと思い、上司の上司に直接話にいってしまい、直属の上司から注意を受けたことがある
子供時代に困っていたこと
シャイで、特に異性とのコミュニケーションが苦手だった。
子供時代の良かった体験
- 学校の勉強は大好きだった
- 良い友達に出会えた
障がいは社会が変わると障がいでなくなると思っています。発達障害が多いシリコンバレーで働いて、それを感じますか?
そのようなことがAlanさんの生きている世界で起こっているので有れば教えて頂ければと思います。
シリコンバレーで働いてきて、発達障害「っぽい人」はたくさん出会ってきた。実際に他の地域よりは多いとは思うが、やはりソーシャルスキルは必要なので、苦労することはある。
予想外の行動で周囲を困惑させたり、ストレート過ぎる発言をして周囲を驚かせたり、悪気がない言動から誤解されて嫌われてしまう人も多々いた。僕も含まれていると思う。
でも、そのような人達は皆、天才的に仕事ができた。だから周囲から頼られたり、尊敬もされていた。
社会の環境が変われば、発達障害「っぽい人」はさらに多くの人が成功すると思う。