さくらの気持ち

私の大切な宝物

夫と付き合い始めたばかりの頃、デートで本屋さんに行った。そこで私はこのベビープレートが目にとまり、手に取って「かわいい!」と言った。

当時の私は仕事でベビー用品のデザインをしていたので、他のベビー用品の観察をよくしていた。だから私にとっては手に取ってマジマジと見るのも感想を言うのも、自然な言動ではあった。彼からしたら、私がこのプレートをすごく気に入った風にうつったんだと思う。

数日後、このベビープレートを彼からプレゼントされた。付き合って初めてのプレゼント。「あの時のだ!」と嬉しい反面、べ、ベビープレート!?とも思った。笑

もしかしたら彼は、ベビー用だと知らなかったんじゃないかな。

(夫がこの時のことを覚えていないそうなので、想像で書きました)

こそばゆい気持ちになりながら、10年以上使っている。夫のランチに使う時もあるし、私の朝食に使う時もある。夫婦の修羅場をくぐり抜けてよく生き残ってきたなと思う。笑

夫がアスペルガーと分からない5年間、夫の言動にブチギレて何皿も食器を割ったことがある。このベビープレートもバキッと折り曲げようかと思った。夫の言動にブチギレて、過去プレゼントされたを物を衝動的にイロイロ捨てたことがある。

このベビープレートも投げ捨てようかと思った。

ゴミ箱の奥底に思いっきり押し込んで、15分後にゴミ箱に手を突っ込んで泣きながら救出したりしていた。断捨離している時も、何度もこのベビープレートを捨てようと思った。引っ越しの時も、何度もこのベビープレートを捨てようと思った。

でもやっぱり、あの頃を思い出すと手放せない。

彼からの初めてのプレゼント。彼の笑顔と私の笑顔。幸せな瞬間。

いつ見ても「べ、ベビープレート!?」と笑ってしまう、私の大切な宝物。