日本で児童発達支援・放課後等デイサービスの先生をしている、Marieさんがお答えしてくださいました。
日本とイギリスの違い

私にはイギリス人の旦那がいて、イギリスの甥っ子が自閉症です。
イギリスと日本では全く環境が違い、日本はまだまだ遅れていて環境が整っていないと思います。特に、公立の学校の先生方の認識が遅れていると感じます。
各地域、学校によりとても差があり、先生の知識不足により嫌な思いをするお子さんや親御さんが出てしまいます。お友達とも仲が悪くなってしまったりと…
制度や実際問題、放課後等デイサービスの施設が足りなくて(300人待ちのケースもありました)、必要な支援を受けられない方も出ています。
イギリスでは先生方も、また親御さんたちも理解がある方が多いです。
親御さんが学校との相談を望んだ時、専門的な支援が受けられる学校に転校ができます。このような支援学校がしっかりあることが日本との違いの一つです。日本では養護学校や支援学校が離れた所にしかなく、遠い所から通っている方もいるからです。
あと、察するや空気を読むなどの日本の文化も、障害を持つ方たちを生き辛くしてしまってるのでは?と感じます。
私は現在、日本で児童発達支援の仕事をしています。ご家庭からアドバイスを求められる際、以下のことをお伝えすることが多いです。
発達障害の子供を注意する時はどうすれば良いのか?
「これはどうしてやってはいけないのか」理由を必ず説明する。”簡潔”に、大切なところを伝える。
発達障害の子供を褒める時はどうすれば良いのか?
「何が出来たのか」「これをしてくれるおかげでどう助かるのか」を伝える。発達障害の子は察することが難しいので、言葉でハッキリと伝える必要があります。分かりやすく簡潔にな説明や理由を添えることが望ましいと思います。
兄弟間での癇癪やイライラ、その時の対応はどうすれば良いのか?
例えば:兄が発達障害、弟は発達障害ではない
発達障害のお兄ちゃんへの対応
お母さんが一通り、兄と弟の両者のお話しを聞くことも然りですが、どうしても癇癪がおさまらない場合は一旦距離を置くこと。
部屋や小さいテントなど、その子にとって安心できるスペースを確保し、気持ちが落ち着くまで待つこともありだと思います。
子供によっては、その後なんで怒っていたか忘れてしまう場合もありますが、その場合でも第三者から見てその子がどう見えたか、そしてどう感じたか伝えてあげると良いと思います。
お兄ちゃんが弟へ傷つくことを言ってしまった場合、自分が言われたらどんな気持ちか、またなぜそのようなことを言ったのか、言いたい気持ちになったのか、お兄ちゃんの気持ちを聞いてあげます。
私は生徒に傷つくことを言われた時、すぐに「とても傷ついたこと」を大袈裟に表現します。
会話が成り立たない時は落ち着かせることも大事ですが、言葉に出来ない子供達に会話はとてもハードルが高いです。絵カードを使い、気持ちの表現、やりたいこと、などを表現しながら会話していく方法もあります。
お兄ちゃんに傷つくことを言われた弟への対応
お兄ちゃんはなぜ嫌な態度や嫌な言葉をぶつけてしまったのか、なぜ感情のコントロールが難しいのか、弟さんがどんなに小さくても説明することは大切だと思います。「弟くんも我慢できないくらいイライラしてしまうことはない?」と弟側に置き換えて説明します。
お母さんは、弟くんが傷ついてしまった気持ちを共感し、弟くんの話を聞いてあげることが大切です。弟くんからすれば「お母さんはいつもお兄ちゃんばっかりに気にかけてる」となっていることが多いです。
なので、そばに寄り添い「悲しいこと言われたね。どんな気持ちになった?お母さんに教えて。」と弟くんが話すきっかけ(吐き出せる機会)を作り、お話を聞くことが良いかと思います。
両者に安心できる居場所を確保する
家族であっても理解するのに時間がかかります。悲しいことがあった時、逃げられる場所(気持ちまたは物理的に安心できる)を確保しておくと良いと思います。
また、発達障害を持つ本人にも、そのような場所を確保しておくことは必要です。そこで、気持ちのコントロールに努めてもらうことが大事だと思います。
ご家庭だけで対応するのはとても大変だと思います。ご家族の疲れやストレスもあると思います。私は発達障害を持つお子さんの親御さんたちには、あまり無理をしないようにと声をかけています。
学校では他の子と比べる機会が多く、焦りや不安もあるからです。
発達支援や放課後等デイサービスなど、使える施設は利用し、トレーニングを行うことも必要かと思います。施設を利用中、ほっと一息をついたり、支える側の休息にもなればと願っています。


