アメリカでの学び

アメリカの心理士や精神科医に「カサンドラ症候群」と言うと、は?と返された

アメリカで、私と夫がコンタクトを取った心理士や精神科医たちは、誰ひとり「カサンドラ症候群」という名前を知らなかった。どこも混んでいて予約がなかなか取れないため、合計8人に問い合わせたが「カサンドラ症候群」と言うと、は?と返された。

カウンセリングの初日、私は日系人カウンセラーにカサンドラ症候群が日本でどれだけ知られているのかを必死に説明した。専門家なのになんて無知なんだ!と苛立った。今振り返れば、発達障害や心理学が進んでいるアメリカで勇気あるズレた行動だ。私の話に穏やかに頷くだけのカウンセラーには、全部見透かされていたんだと思う。

それから年月をかけ私は、日本人の国民性がどれだけ簡単に自らカサンドラっぽい症状を生み出してしまうか理解する。日本人は自殺者や心病を抱えた人が多く、また周囲と同じであることに安心感を抱くため、流行に乗りやすい国民として世界に知られている。誰かが決めた常識や普通だらけで、同調することが当たり前で、個より集団に重点を置いた教育を受ければ、人の心は自分を守れないようにできてしまう。その苦しさに悩んでいる中、あなたは〇〇という病名に当てはまりませんか?と言われれば、その流行に流されてしまう。

なぜ日本人に発達障害が多いのか?

日本は世界でも発達障害の人が多いそうだ。なぜ日本人だけこんなに発達障害が大量発生してしまうのか。

その理由は、他の国では自然に許しあったり助け合ったりしている物事が、日本では「迷惑をかけている」や「こんな普通のこともできないのか」と、問題視されてしまうから。

様々な違いある人々が生きやすい環境に変えていこうとするよりも、社会は発達障害の人がきちんと苦手分野への自覚をして、自分への対策を学ばせようとする。

発達障害の人でなくても、窮屈な社会に実はみんな生きづらさを感じているのではないかと思う。小さい頃から日本人をやってると、かなり意識しないと自分らしさが消えていく。発達障害との関わり方どうこうより、日本の独特な国民性や教育問題の認識と改善が先だと思う。簡単に変われないと思うけれど。

心のケアがビジネス化している日本

今はちょうど、子供の頃に発達障害を見過ごされてきた人達が大人になり、家庭を築いている時代。だから無自覚の大人の発達障害の問題もある。家庭でも学校でも社会でも、特性に配慮された対応をされてこなかった場面が多いだろうから、人格形成や人との関わり方に影響が出ていると思う。本人だって辛かっただろう。

カサンドラの名前を強調した書籍やカウンセリングも出てきて、ビジネス目的が伝わってきて違和感を持つ。病名は自分の好みや判断で選ぶものではないし、心の病は様々な要因が絡み合っているから、何か一つだけを抱えている人なんていないだろうに。

そしてもう一つの社会問題。数ヶ月で取れる資格で人にカウンセリングを提供できてしまう日本のシステム。人が抱える悩みの助けになりたいという気持ちは素晴らしいと思うが、人生や命がかかった相談を軽く見すぎている。私自身もSNSのDMに「最短2ヶ月で資格が取れカウンセラーになれます!」と営業が止まない。

心の病を次々に生み出すのが上手な社会で、心の病をターゲットにビジネスが生み出されてしまうのは無理もない。

日本、社会はこんなやり方で本当に心の病を救おうとしているのだろうか。

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