皆さんの体験談

ADHDのカナダ人と結婚した私の話 / Akkoさん編

私はワーホリでカナダに行ったときに現地でカナダ人夫と出会い、結婚しました。現在は夫と子供1人と3人で暮らしています。私たち夫婦は、今までにADHDによる夫の問題が起こるたびにたくさん話合いをしてきました。

私は我慢の限界を超えて感情的になりやすいことがあったり、一度話し合って解決方法を見つけ出し、それを実行して数か月後に同じ問題が起きたなんてこともよくあります。

ADHDの症状はライフステージ(学生、大学生、社会人、結婚、子供など)によって様々な問題が起きると思います。その中でも、夫の場合は次の症状があります。

  • 時間管理が不得意・物事を忘れやすい
  • 重要な日付や期限を覚えたり準備したりするのが苦手
  • 不適切な時にスマホや興味のあることへ刺激を求めてしまう
  • 会いたい気持ちはあっても自分から友人や家族と連絡を取り合おうとしない
  • 眠くてもYouTube等見ることを自分自身でやめるのが難しくて常に寝不足

これは夫の問題点や苦手とすることの一部ですが、同じADHDを持つ人でも症状や苦手とすることが違います。育った環境、今住んでいる環境、周囲の人や社会とのかかわり方が関係しているのではないかと私は思います。

課題を提出するのを忘れてしまう

夫はカナダの大学に通っているときに、課題を提出するのを忘れたり、そもそもやらなければいけない課題があったことを忘れたり、授業に毎回遅刻したり、楽しいことがあると時間を忘れて夜更かししてしまい翌朝起きられなくて大学の授業に行くことができなかったり…などの問題点が増えてきて大学の単位を取るのが難しい状況に陥りました。

義務教育はすべて授業の時間割が決められていますが、大学生は授業の選択、課題の提出、サークルやアルバイトなどすべて自分でスケジュールを立てなくてはいけません。ADHD当事者で義務教育までは問題がそこまでなかったのに、大学生になってから急にできなくなったことが増え生きづらさを感じたり、問題解決が難しいことから、ADHDの可能性に気付く人もいると思います。

夫は大学に在中しているカウンセラーに相談したところ、自分にADHDの可能性がある事を知ったのがきっかけとなり、28歳の時にPsychologist(精神分析医)にADHDと診断されました。その後私と出会い、結婚しました。

しょうがないって精神を持つこと

夫からADHDであることを告白された当時は、病名を聞いたことはありましたが、私にはADHDの知識はありませんでした。ネット上でADHDについて私なりに調べてみましたが、日本語だと情報が少なく、とくに大人になってからADHDと診断された人についての情報を探すのは大変でした。日本は発達障害について専門知識を持っている人がとても少なく、服用できる薬の種類や発達障害に関する本も海外に比べてまだまだ少ないです。また北米と比べてADHDに対する周囲の理解度も低いと思います。

私はADHDに関する本を読んでいくうちに、夫の症状や問題点がなんとなくわかるようになり、夫との接し方も変わり始めました。具体的には、時間や物忘れを防ぐための声掛けが特に効果がありました。私は夫に対して最初の頃は特に攻撃的に攻めてしまい(今もたまにあります)、夫を何度か追い詰めてしまったり(そのせいなのかわかりませんが、夫がパニックアタックを起こしたこともありました)、不快な思いをさせてしまったりもしました。

私は夫に対して、「どうしていつもこんなに時間ギリギリなの?どうしてこんなに忘れやすいの?」など私自身を基準に考えて夫を見ていたので、イライラしたり、時には怒りさえも感じる事があったのですが、それによって私が疲れやすかったり些細な事にまで口うるさく言ってしまうことがありました。けれど、これは夫ではなくADHDのせいだ、夫にはちょっとしたサポートが必要なんだって思うようになってからは、私自身も少し楽になった気がします。

何でもかんでもADHDのせいにするのは良くないのですが、しょうがないって精神を持つことが私には必要だったのだなと思います。

相手を否定しないこと

私が夫とコミュニケーションをとるときに大切にしていることがいくつかあります。

① 相手を否定しないこと。

例えば、夫が食事後の食器洗いを担当しているのですが、スマホをダラダラ見てなかなか行動に移らない時は「スマホ辞めてお皿洗ってくれる?」ではなくて、「何時にお皿洗うの?」という感じに具体的に時間などを質問にして聞きます。誰だって自分が今やっていることを頭ごなしに否定されたら気分悪くなって、やろうと思っていたこともやりたくないと思います。

② お互いのスケジュール確認

前もって予定を知っておくことで時間の確保ができますし、突発的に準備をしなくてはいけないという状況を防ぐことができます。スケジュール確認をしていても、私たち夫婦は予定通り進められず、うまくいかないこともよくあります。その時はまた予定を立て直す話合いをします。

③「ありがとう」「ごめんね」「I love you」を言う

一緒に生活をしていると当たり前になり、 素直に感謝を伝えることをしなくなると、 やったのにという気持ちが増えていき、 あるときちょっとしたことでスイッチが入って怒りが爆発します。 食器洗ってくれてありがとう。 洗濯物たたんでくれてありがとう。 ちゃんとあなたのやってくれたことに感謝しているよと伝えます。 また、起きてしまった問題や自分が悪かったと思うことに 「ごめんね」と声にすることで 相手に謝罪の気持ちを伝えるようにしています。

言い合いなどが起きた後も 「I love you」と一言いうだけで 安心感があると夫は言います。 英語圏の文化の違いだと思いますが、 日本で育った私からすると言い慣れていない言葉です。 私にとってはごめんね、ありがとうと同じ意味合いで 「I love you」 も大切なんだなと思っています。

お互いに持っていない部分を支え合う

今はだいぶ良くなりましたが、夫はやるべきことを後回したり、問題があったときに問題を作ってしまった恥ずかしさから事実を隠したりする傾向があります。相手に伝えたり、話し合ったりすることで解決することがあります。まずは話しやすい雰囲気を作るためにも、コミュニケーションで大切にしている3つのことは私たち夫婦にとって必要です。

お互いに持っていない部分を支え合って行けるのはパートナーに限らず、家族でいるためには必要なことだと思います。必ずしもすべてを支えることは誰にだって難しいですし、相手のためにもなりません。適度な距離をもったり、自分だけの時間を自分のために過ごしたりすることも気分転換になっていいと思います。

私たち家族3人の生活は子供が大きくなるにつれて、これからもっと変化していくと思います。壁にぶち当たるたびに、しっかりとコミュニケーションをとり、これからも明るく楽しい家族でいれたらいいなと思います。