アメリカでの学び

いえいえ本当にバカ息子で〜

昔働いていた会社でみんなでランチをしていた時のこと。その中に日本から来たばかりの男性従業員がいた。彼の息子さんを知っているボスが息子さんのことを褒めた時に、彼は「My son is stupid」と返してしまい場が凍り付いたことがある。

「いえいえ本当にバカ息子で〜」のような謙遜をしただけなんだろうけど、彼は日本語を直訳しすぎてしまった。 そこで私が日本の謙遜の文化を皆に説明したが、理解したアメリカ人はいなかった。私自身も疑問に思っていたことなので説明すればするほど訳が分からなくなり、日本の文化は複雑だと思った。言葉通りに受け取って、素直に喜べればいいのにね。

最後に彼はボスから「でもね、冗談でも自分の子供をみんなの前でバカとは言ってはいけないよ。子供に直接は絶対に言ってはいけないよ。あなたの息子さんは素晴らしいじゃないか」と優しく注意を受けていた。

逆に子供を誇りに思いそれを伝えようとする時には、今度は親の自分をバカと呼ぶ。「親バカですが~」なんて付け加えなくても、子供の良い面や可愛い面を言い合えるようになるといいな。子供も親も、誰もバカじゃないよ。

子供に限らず、アメリカでは家族を褒める言葉をよく聞く。他人のこともよく褒める。私もよく褒められる。褒められると嬉しい気持ちになり、素直に「ありがとう!」とお礼を言うとお互いが笑顔になることは、アメリカにきてから知ったように感じる。

親が冗談だと思っていても子供はどう捉えているか分からないし、こういう積み重ねが心を傷つけたり自己肯定感を下げたりするのだとは思う。そして実は大人も、他人や自分の良い面を見つけるのが難しくなっているのではないだろうか。

人の良い面も自分の良い面も、たくさん見つけられるようになりたいと思う。特に一番身近な他人、家族とは素直な笑顔が生まれるような会話をしていきたい。